株式会社三菱UFJ銀行に聞くSymphony導入のビフォー・アフター。
「金融機関の利用を前提にしているという安心感」

外国人投資家向け常任代理人業務においてSymphonyの活用を進めている株式会社三菱UFJ銀行決済事業部。

きっかけはお客様である海外金融機関からの紹介だったそうですが、実際に導入し、今なお進化を模索中とのこと。

導入までの経緯、活用方法とインパクト、今後への期待などを伺いました。

三菱UFJ銀行
決済事業部 企画グループ
加藤香菜様

海外金融機関から影響を受けて

まずご自身のお仕事の内容をご紹介ください。

決済事業部では内外金融機関をお客様とし、円資産の保護預かりや円資金・証券の決済代行等を行う部署です。企画グループでは部内業務の総括的な立場を担っており、業務の効率化もミッションの一つとなっています。

 

Symphonyの導入にあたって、最初のきっかけ、背景はなんだったのでしょうか?

Symphonyについて初めて耳にしたのは、Symphonyユーザーである外資系金融機関のお客様より「革新的なツールを使って決済業務の効率化を図っている」という事例をご紹介いただいたことがきっかけでした。

先進的な技術活用により業務効率化に大きな効果を発揮されているという進んだ事例のお話を伺い、強い影響を受けて導入検討を開始したのが2018年の秋頃です。

検討にあたっては、これまでOutlookメールといった一般的なメールでのやり取りが主なビジネススタイルの中、Symphonyのチャットボットの仕組みや自動化の事例が、所管する決済領域にプラスもマイナスも含め、どういった影響を与えるのかが焦点となりました。

また金融機関としてはコンプライアンス、情報セキュリティの観点で高いレベルを保持する必要がありチャットは非常に便利である一方、決済では一度事故やトラブルが発生すると、実損の発生に加え 大切なお客さまの信用・信頼を揺るがすことに繋がります。

検討は慎重に進める必要があり、こうしたコンプライアンス、情報セキュリティの課題をクリアしながらいかに業務効率化に活用できるか、というのが一番の課題でした。

また業界慣習として電話・メールがスタンダードなカルチャーであることや、情報漏洩などのリスクも踏まえ、まずは弊行内での活用からスタートするスタイルで導入しました。

すばやく効果が見られたコロナ禍でのチャット活用

具体的に活用を始められていかがでしたか?

2019年7月に部内メンバー同士のチャットから利用を開始したのですが、コロナ禍におけるリモートワークの促進といった背景も受け、チャットは非常に役立ったと言えます。

これまでは、オフィスで机を並べお互いの状況を見て声をかけながら業務遂行していましたが、チャットの活用により、リモートワークにおけるコミュニケーションがよりスムーズにできました。

チャット利用の次に挑戦したのがチャットボットの業務活用です。

証券決済の業務では、日々100件以上の決済ステータスに関して、お客様からの問い合わせを受けています。照会の度に決済明細毎に照会番号をホストシステムに入力、検索し、回答するという業務は、相応に負荷の高い業務です。

この業務をユースケースとし、弊行デジタル企画部(当時)とPOC(Proof of Concept:実証実験)という形でチャットボットを構築し試用したところ、Symphonyを通じたホストシステムからのデータ検索の効率化が図れ、お客様へのメール返信が従来よりスムーズになりました。

 

コロナ感染が収束して、オフィスへの回帰が始まってもツールは継続使用しますか?

はい。リモートワークも然ることながら、チャットボットの活用による業務効率化がSymphonyの魅力の一つなので、今後もSymphony活用の場は多くあると思っています。

業界を巻き込むワーキンググループの活動も

Symphonyを導入する際、コンプライアンスと情報セキュリティの課題をクリアしたポイントは何ですか?

既に導入済の金融機関が海外の大手であり、かつ弊行とも関わりが深い金融機関が多数あった点、こういった金融機関が出資している点も評価につながりました。

また、Symphonyにおける金融機関での利用を前提としたコンプライアンス・情報セキュリティ機能や暗号鍵への特許取得といった機能面も挙げられます。

他ツールとの比較の中で、ユーザー層やセキュリティの差異化はSymphony選択における重要なポイントになりました。

 

今後はどのようにSymphonyを活用したいと期待されていますか?

Symphonyは弊行が導入した2019年と比べ、国内外の他金融機関ユーザーが着実に増加しており、相互利用の可能性も見えてきたところです。今後の活用の幅は、外部環境も大きく関わってくると思っています。

例えば業界全体としてSymphonyが浸透することで、国債の決済の際に発生する非効率性の問題解消にも活かせるのではないかと考えています。

現状は国債の決済時限のある中で電話でのやりとりが中心であり、時に定められた時間内に決済が成立しないケースもあります。それがSymphonyを通じた他金融機関とのスムーズな連携により、これまで以上にスピーディーに決済していけるのでは、という期待があります。

現段階では、情報セキュリティやコンプライアンスの問題、業界全体の足並みを揃える必要もあり、実現には至っていませんが、まずは国債決済の市場参加者全体でチャットができるような環境作りを目指し、活動を行っているフェーズです。

具体的にはSymphony社や国内外金融機関と連携の上「ジャパン・ワーキング」というワーキンググループで、議論や意見の集約などを進めています。

Symphonyのように機動的にシステムを構築できる仕組みの存在は、金融業界のシステムを柔軟に結びつけ、大きな変化をもたらす可能性があると感じています。

 

コンプライアンスや情報セキュリティに関する難度が高い中、Symphonyのようなツールを 使って業務改善を進めていくにはどうすればよいでしょうか?

金融機関ごとにポリシーは異なると思いますが、業界全体としてコンプライアンスや情報セキュリティに高い水準を要求される環境にあるため、新たなツールの導入にはコストや労力、内部ルールによる制約によって実現が難しい、と先入観に囚われることが多いかと思います。

ただ、情報の全てを開示するわけにはいきませんが、可能な部分についてはナレッジを相互共有し、業界全体として推進する機運を高め、足並みを揃えつつ業務改善に向け前進していくことが重要だと思います。

弊行でも「変革と挑戦」というスローガンに基づき、新しいことに取組むポジティブなマインドシフトが起こっているのを実感しています。今後も新たな視点を大切にしながら、幅広い業務改善に挑戦したいと考えています。

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